空襲と台風 |
たかなべ 戦中戦後の体験集 |
終戦直前の中尾 |
空襲
高鍋町 女性
昭和20年8月8日は何時になく晴れていて、とても気持ちの良い朝でした。
ラジオは、相変わらず戦況を知らせています。あわただしく朝じまいを済ませると家族の無事を祈りながら仕事に行きました。職場で、皆んなと和気あいあいにお話をしている時、空襲のサイレンです。それ来たとばかりに、子供達のことが心配になり近くの我家へ転ばんばかりにして走って帰りました。ちょうど家の前まで来た時、艦載機からの銃撃を受け、思わずたんぼの溝にうつ伏せになり難を逃れました。
急いで家に駆け込んでみると、子供と祖母が泣きじゃくりながら私を待っていました。なぐさめる暇などなく、ただがむしゃらに子供を小脇にかかえ、祖母を引きずるようにして裏山へ避難させました。途端に近くの田圃に時限爆弾でも投下されたのでしょうか、身をつんざくばかりの音がしました。家族皆んなで口も利けず黙ったまましばらくジーッと抱き合って空襲警報が解除になるのを待ちました。解除になると、皆んなでほほをすり寄せ合い「良かった良かった」と、無事を喜びホッとしたものでした。
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